主催団体概要

安全で安心な地域社会の構築を目指して

私たちの日常生活は安全で安心できる環境にあるでしょうか。
NPO法人 安全と安心 心のまなびばは、安全で安心な地域社会の構築を目指して、以下の4本柱を基調とした活動を展開しています。
 
  ・交通安全普及に関する活動
  ・健全な子どもの育成に関する活動
  ・健康寿命延伸に関する活動
  ・防災及び防犯に関する啓発活動


私たちの周りには、安全で安心な生活を脅かす様々なリスク要因が潜んでいます。
目に見える危険から身を守るのも易しいことではありませんが、目に見えない危険を予知して対処することは一層難しい世の中です。
事故、災害、犯罪、健康被害、などに対する備えは大丈夫でしょうか。
本NPO法人は世の中の多様なリスク要因に注目し、心理、医療、福祉、教育等の多角的見地から調査と研究を行い、その結果に基づいた地域貢献事業を実践します。
皆様方のお力を借りながら、できることから一歩ずつ着実に歩んでまいります。ご理解とご協力をお願いいたします。

特定非営利活動法人 安全と安心 心のまなびば
理事長 金光 義弘

事業の趣旨

「無意識運転から意識運転へ」  

「他人からの指摘はなかなか素直には受け入れない」というのは人の性(さが)でもあります。
このことは自動車の安全運転教育にも当てはまるのではないでしょうか。
昨今、高齢者の免許返納問題がクローズアップされていますが、この件についても、高齢者本人が納得しない以上、円満な免許返納にたどり着くのは難しいという課題がありました。
また、これまでも安全運転教育では事故事例や正しい運転の仕方などの教育コンテンツが小冊子や映像、機器による検査などと研究開発され実践されてきましたが、いくらこうした安全運転講習を受講しても馬耳東風の受講態度ではその効果も薄らいでしまいます。
一方、教育業界やスポーツ業界では「アクティブラーニング(能動的学習)」や「コーチング」などの自発的学習技法や態度変容技法が注目を浴びるようになり、本人の「やる気」を引き出すアプローチが主流となっています。
さらに、これまで当NPO法人 安全と安心 心のまなびばでは、家族や学校、地域、会社組織などの小単位での人間関係を活用した教育効果(信頼関係のある身近な人同士による対話を通じた行動変容の促進効果)について研究と実践がなされてきました。
こうしたことから、安全運転教育においても視点を変え、他者から教えられるのではなく、小単位での人間関係も活用して本人自身の「気づき」を促すことによる「安全運転行動の定着」という教育手法の研究開発に取り組むこととしました。
そして、その本人の「気づき」を促すためのツールとして、近年普及が進んでいるドライブレコーダー(マルチカメラタイプ)の活用に着目することとなりました。
つまり、「ドライブレコーダーの録画映像を用いて、自己の運転行動を見直す機会を提供し、小単位での人間関係による対話を通じて、普段の安全運転意識を喚起させる手法の設計・実践」(以下、「当事業」)について、3か年計画で取り組むこととなりました。

安全運転カフェ事業概要

当事業は、ドライブレコーダーと小単位でのコミュニケーションの2つを活用し、運転者本人のドライブレコーダーの録画映像を用いて、自己の運転行動を見直す機会と小単位での人間関係による対話を通じて、普段の安全運転意識を喚起させる手法の設計・実践について、3か年計画で取り組む事業です。

事業名一般社団法人 日本損害保険協会 2019 年度 自賠責運用益拠出事業 自動車事故防止対策 地域密着型交通安全教育の方策開発と普及活動支援
目的無意識運転の意識化と自発的安全運転意識の喚起による安全運転行動の定着
概要ドライブレコーダー(マルチカメラタイプ)を活用した小単位での人間関係による対話を通じて、普段の安全運転意識を喚起させる
目標安全運転カフェの参加拡大と教育効果の定着
手段ドライブレコーダー(マルチタイプ)を活用し、運転者自身が自身の運転映像を見る機会を設けることにより、身近な人との対話を通じて、自身の運転の「くせ」や「危険行動」に気づき、自発的な安全運転意識を喚起させ、日常での安全運転行動につなげてもらう
事業対象法人から家族単位までのコミニティー
事業主催者特定非営利活動法人 安全と安心 心のまなびば
期間2019年度~2021年度までの3ヵ年度

【成果目標】

1年目
・安全運転教育プログラム(通称「安全運転カフェ」)の開発
・安全運転カフェの実施(5団体計15人以上)

2年目
・安全運転カフェの実施による効果データの収集(10団体計30人以上)
・安全運転カフェのパッケージ化(普及版の開発)

3年目
・各種団体組織の特徴に応じたアプローチ法の開発
・組織・団体への普及拡大

安全運転カフェ

安全運転カフェの流れ

趣旨説明・事前アンケート・ドライブレコーダーの取り付け
当事業の趣旨・内容をご説明させて頂き、協力者様の許可を頂き協力者様の自動車に当事業担当者がドライブレコーダーを取り付けます。
また、取り付け後は現在の運転に対する姿勢やドライブレコーダーについての意識調査を行います。
ドライブレコーダーでの運転走行動画の記録①(概ね1週間程度) 
実際に協力者様の自動車にドライブレコーダーを設置し、協力者様の普段の運転動作を録画します。
ワークショップ①(意識啓発・安全運転ビューイング・効果測定)
安全運転5則・教示用の資料や映像を活用しながらグループに分かれて意識啓発のワークショップを行います。
ワークショップ後は、事前に協力者様の自動車に設置したドライブレコーダーの映像を全員で鑑賞し各自の運転の「くせ」を見つけあいます。
ワークショップ終了後は、協力者様各自の運転に対する姿勢や行動変容についてのアンケートを行います。
ドライブレコーダーでの運転走行動画の記録➁(概ね1週間程度)
協力者様の自動車に引き続きドライブレコーダーを設置し、協力者様の普段の運転動作を録画します。
ワークショップ➁(意見交換・安全運転ビューイング・効果測定)・ドライブレコーダーの回収
2回目のワークショップでは、前回のワークショップを踏まえて1週間を振り返って運転に対する姿勢や運転意識がどう変わったのかをグループ内で話し合います。
グループセッション後は、前回のワークショップ以降の協力者様の自動車のドライブレコーダーの映像を全員で鑑賞し、お互いの運転に対する「くせ」意識またはその変化について話し合います。
ワークショップ終了後は、協力者様各自の運転に対する姿勢や行動変容についてのアンケートを行います。
また、会終了後に当事業担当者が、協力者様の自動車からドライブレコーダーを回収します。
事後アンケート(意見交換ワークショップより約1か月後)
ドライブレコーダー回収後1か月後を目途に運転に対する姿勢や行動変容についてのアンケートを実施します。
また、安全運転カフェの感想や行動変容についてもヒアリングします。

ドライブレコーダーの活用

今回の取り組みでは日常での安全運転行動につなげてもらう事が目標であり、その為にはまず運転者自身が自身の運転映像を見る機会を設ける事が非常に重要となります。
またその運転映像を見たうえで自身の運転の「くせ」「危険行動」に気づく事により、身近な人との対話を通じて、自発的な安全運転意識を喚起する事ができます。

使用するドライブレコーダー

オオトエイブルズ社 4カメラ型ドライブレコーダー
4カメラ(前方+ハンドル+車内ドライバー+足もと)足もとカメラは赤外線仕様+音声マイク

幾種類もあるドライブレコーダーの中から、

・外部環境(道路環境)と内部環境(運転者自身の姿)を同時に記録できる
・できる限り車載取付が簡便
・映像再生ソフトが付いている(各カメラ映像を同時再生する必要があるため)


という条件で選定を進めました。
しかし、前後カメラ(前外と後外)は多数販売しているものの、外内カメラ(前外と室内)を装備している機種は(2019年4月時点)あまり販売されていませんでした。
その後、4つのカメラを搭載しているドライブレコーダーをオオトエイブルズ社が販売しているという情報が入り、同社に問合せ試用し、この機種を使用することに決定しました。
この機種の活用により、「無意識になりがちなペダル操作(足もと)を映すことができる」ようになり、当事業の目的である「無意識運転の意識化」に効果的であると判断しました。

ドライブレコーダー取り付けの様子

ワークショップ

普段の運転で運転者自身が気づかなかった自分の「くせ」に気づいたり、自分は安全運転をしていると思っている人が、他者の運転を見ることにより安全運転意識を見直すきっかけになったりするなど、安全運転カフェへの参加によって安全運転意識の喚起行動変容へのきっかけづくりになっているという効果が確認されています。 
こうした自らの「気づき」をさらに効果的に促せるよう、今後も安全運転カフェでの運営方法や示唆の仕方に改良を加えていきます。 
さらに、良い運転や注意すべき運転などの「くせ」の映像例として、教示用の映像も作成しました。
この教示用動画を映像評価参考項目などを参考にしながら鑑賞する事で、会の中での気づきを得るための安全運転への知識と感度を高めていきます。

安全運転ビューイング

交通安全カフェでは毎回安全運転ビューイングを行います。
安全運転ビューイングでは、協力者様同士で、互いのドライブレコーダーの記録映像を鑑賞し、鑑賞後に自身は勿論のこと、他の協力者様の運転の「くせ」を見つけ共有し合います。
鑑賞中は協力者様同士のドライブレコーダー映像を道路交通法や教習所などで使用するチェック項目を元に制作した、映像評価参考項目や高齢者講習運転行動診断票を参考にしながら鑑賞します。
さらに、記録映像を見ている最中には、ファシリテーター役が運転者へ「今のシーンでは○○について意識していましたか?」などと質問し、運転意識「くせ」に対する「気づき」を促し、深めていく事ができます。

映像評価参考項目

高齢者講習運転行動診断票

効果測定

安全運転カフェでは会の最初と最後に協力者様自身の安全運意識・行動変容を確認するアンケートを行います。このアンケートを通し、協力者様自身の運転意識・行動変容を記録し、効果測定を行います。
この結果をもとに安全運転カフェへの参加がその後の安全運転意識や行動にどのような教育効果を与えていたかを測定します。

教育効果測定のための質問用紙

5段階評価による活用効果の測定とともに、自由回答による自発的な「気づき」のデータが収集できるよう随時改良をしていきます。

年度別活動実績報告

2019年度報告

効果測定結果報告

ドライブレコーダーの取付時(前)、安全運転カフェの1回目(中1)、2回目(中2)、安全運転カフェ2回目開催の約1か月後(後)の4回にわたり、次に示す1〜5の運転意識行動の評価項目について5段階評価(5.よくしている、4.している、3.普通、2.あまりしていない、1.していない)で回答していただいた結果を示します。

運転意識行動評価の変化(16人の平均値と標準偏差)

※( )内の数値は標準偏差 (N=16 ※中1のみN=15)  

測定時期中1中2前後差
1.安全運転を意識している3.56(0.81)3.67(0.82)3.75(0.77)4.13(0.62)0.57
2.意識して安全確認動作をし ている3.44(0.73)3.80(0.68)3.94(0.85)4.13(0.62)0.69
3.安全確認のための視線移動 の頻度3.31(0.60)3.73(0.59)3.94(0.68)4.00(0.52)0.69
4.ブレーキ準備など危険回避 準備行動の有無3.31(0.95)3.67(0.90)3.88(0.89)4.13(0.81)0.82
5.運転中ナビや地デジ映像を 見る回数や頻度を減らす3.06(1.06)3.40(1.06)3.63(1.09)3.88(1.09)0.82
※1団体目の効果測定は安カフェの前中後の3回だけだったため、便宜上、中を同じ数値で「中1」と「中2」として集計しています。
各評価項目ごとの変化(平均値と標準偏差)

項目1:安全運転を意識している
項目2:意識して安全確認動作をしている
項目3:安全確認のための視線移動の頻度
項目4:ブレーキ準備など危険回避準備行動の有無
項目5:運転中ナビや地デジ映像を見る回数や時間を減らす

ドライブレコーダーの取付時(前)と安全運転カフェの1回目(中1)の評価数値(平均値)を比較すると、1〜5のすべての評価項目において平均値が上昇しており、ドライブレコーダー取付による安全運転意識や行動への変化があったことがわかります。
また、ドライブレコーダーの取付時(前)と安全運転カフェ2回目開催の約1か月後(後)の前後比較をしてみると(前後差)、1〜5のいずれの評価項目においてもポイントの上昇がみられます。
なかでも「4. ブレーキ準備など危険回避準備行動」と「5.運転中ナビや地デジ映像を見る回数や頻度を減らす」においては、それぞれ3.31ポイントから4.13ポイントへ、3.06ポイントから3.88ポイントへとともに0.82ポイントも上昇しており、安全運転カフェの実施効果が出やすい項目と考えられます。
反対に「1.安全運転を意識している」は、もともと今回の協力者のほとんどが、日常的に安全運転を意識している人であったため、前後差が出にくかったものと推察されます。 一方、1〜5の各評価項目ごとの標準偏差をみると、「3.安全確認のための視線移動の頻度」では標準偏差の値が0.52〜0.68で比較的ばらつきが小さく、協力者による個体差は少なく、反対に「5.運転中ナビや地デジ映像を見る回数や頻度を減らす」では標準偏差の値が1.0超えており、回答のばらつきが大きく、協力者による個体差が大きかったことがわかります。

「くせ」の発見

今回の安全運転カフェを通じて運転者が気づいた自分の運転のくせをまとめると、主に以下のようなものが見られました。

【良いくせ】
・身を乗り出しての意識的な安全確認
・複数回の念を入れた意識的な安全確認
・ブレーキに備えた足の位置(ブレーキ準備動作ができている)

【注意すべきくせ】
・走り出してからの安全ベルト装着
・余裕のない(前のめりやのけぞりすぎなど)運転姿勢
・首を振らず、視線だけでの安全確認
・ブレーキング間際での足のペダル移動(ブレーキ準備動作がない)
・スマホなどの脇見
・片手運転
・不完全な一時停止
・感覚だけ(安全確認せずの)車線変更
・同乗者と会話中の無意識運転
・意識運転しているつもりになった不完全運転
・夜になると集中力が落ちている(無意識運転になっている)

自由回答に見られる変化

効果測定のアンケートに設定している自由回答に書かれた内容を見てみると、「安全確認動作をより意識しだした」や「一時停止を意識して止まるようになった」、「自分のくせに気づいた」、「無意識運転になっている自分の姿が確認できた」など、第三者目線での気づきや、他者運転を見ることによる学習などの効果が多く寄せられています。
総合してみると、自分の運転のくせなどに注意を向け、運転中は意識的な運転を心がけようとする内容の回答が多く寄せられており、安全運転カフェの実施により、「無意識運転の意識化と自発的安全運転意識の喚起による安全運転行動の定着」という当事業の目的に沿った効果がでているものと考えられます。

活用拡大方法の検討

安全運転カフェ 協力者 募集チラシ

安全運転カフェの告知と 協力者 募集のため、チラシを 4 00 部作成し、知人や経営者団体に配布するとともに、飲食店などに貼付けをお願いしました。

安全運転カフェ 協力者 募集活動

2020 年 1 月 16 日 守成クラブ山陽会場(経営者の交流会 約 130 社出席)にて安全運転カフェ協力者募集活動を行いました。

2020年1月16日 守成クラブ山陽会場(経営者の交流会 約130社出席)にて

2019年度研究実績報告

2020年度活動予定

・安全運転カフェの実施による効果データの収集(10団体計30人以上)
・安全運転カフェのパッケージ化(普及版の開発)

2021年度活動予定

・各種団体組織の特徴に応じたアプローチ法の開発
・組織・団体への普及拡大